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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和33年(う)180号 判決 1959年8月06日

被告人 供田章 外一名

主文

被告人両名の本件各控訴をいずれも棄却する。

理由

(弁護人の控訴趣意)第四点

所論は原判決が売春防止法第十一条第二項の罪となるべき事実(原判示第一事実)を判示するにあたり「売春婦である啓子こと田中かおる、みどりこと松村千代江、幸子こと上窪幸子及びひろみこと蔵下ミチエが(中略)延人員合計百四十九名の不特定殆んど全部氏名不詳の客を相手に分担して毎回対価を得て売春するにあたり」云々と判示していることは、相手客を具体的に判示していない点において其の判示方法が極めて杜撰であるから破棄せられるべきである旨主張する。併し売春防止法第十一条第二項の罪となるべき事実を判示するには被告人が売春を行う場所の提供を業としたことを具体的に判示すれば足りるのであつて、売春の相手方たる客の氏名、住居、年令及び売春の対価等は同条項の構成要件に属しないところである。されば原判決が所論相手方の氏名等を具体的に判示しなかつたことは何等違法でない。論旨は理由がない。

(その余の判決理由は省略する。)

(裁判官 辻三雄 高沢新七 干場義秋)

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